正午頃ひるごろ)” の例文
東の仙藏はんの隱居が空いてますのや、彼家へ宿替へしよつたんや、今日の正午頃ひるごろになつてなア。
兵隊の宿 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
蒸しものの菓子を紙に包んで、ちょっと頂いた処は慇懃いんぎんで却って恐縮。納めた袋の緒を占めるのがかぶとを取ったようで、おごそかに居直って、正午頃ひるごろまでに、見舞う約束が一軒。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
翌日また正午頃ひるごろ、里近く、滝のある処で、昨日きのう馬を売りに行った親仁おやじの帰りにうた。
高野聖 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
お婆さんが道祖神さえのかみの化身なら、この子供には、こんがら童子の憑移のりうつったように、路も馬も渉取はかどり、正午頃ひるごろには早く所口へ着きました。可心は穴水の大庄屋、林水とか云う俳友を便たよって行くので。
河伯令嬢 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)