歓楽よろこび)” の例文
旧字:歡樂
月影のさす秋の夜に心ある夫婦の前で寂しい来しかたの物語をするのは私にとって、こよなき歓楽よろこびであった。
駅夫日記 (新字新仮名) / 白柳秀湖(著)
それに依って得た歓楽よろこびは、必ずしも大きくはありませんでしたが、その後に来た悲哀かなしみは、凄惨せいさんと言っても足りないくらい、実に想像を絶して、大きくやって来ました。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
この声にうながされて、東洋の都市は歓楽よろこびもなく、哀傷かなしみもなく、ただ寝よ、早く寝よ、夢さえ見る事なく寝よとて暗くなって行くのだ。自分は、ヴェルレーヌの一句を思付おもいついた。
曇天 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
刹那の刹那、歎く血の歓楽よろこびにこそ、——
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
ああ、しかし、自分は、大きな歓楽よろこびも、また、大きな悲哀かなしみもない無名の漫画家。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
歓楽よろこびの穂のひとつだにのこさじと
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
いかに大きな悲哀かなしみがあとでやって来てもいい、荒っぽい大きな歓楽よろこびが欲しいと内心あせってはいても、自分の現在のよろこびたるや、お客とむだ事を言い合い、お客の酒を飲む事だけでした。
人間失格 (新字新仮名) / 太宰治(著)
さばめむ、こひ歓楽よろこび
第二邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
永劫とは光明ひかり歓楽よろこび
全都覚醒賦 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
苦悶もだえそふ歓楽よろこびのせて
邪宗門 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)