歎異抄たんにしょう)” の例文
私はあの『歎異抄たんにしょう』に書かれた親鸞上人しんらんしょうにんの言葉を感慨深く想い起す。「善人なおもて往来をとぐ、いわんや悪人をや」と。
工芸の道 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
かれは、ふと、何と思ったか、このごろしばらく手にしなかった「歎異抄たんにしょう」を本立からひき出して机の上にひらいた。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
しかしそれは自力作善さぜんの道徳的行為を媒介として宗教に入るということではない。親鸞しんらんが『歎異抄たんにしょう』においての善人なおもて往生をとぐ、いわんや悪人をやという語、深くあじわうべきである。
絶対矛盾的自己同一 (新字新仮名) / 西田幾多郎(著)
もう一時間あまりも「歎異抄たんにしょう」の一句一句を念入りに味わっていたが、そとをのぞいて、いつもと同じかえで小枝こえだの、それも二寸とはちがわない位置に
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
再びここに『歎異抄たんにしょう』の言葉が想い出されるではないか。天才には秀でた作が出来るのである。だが凡人にはなおもそれが出来るのである。仏の加護のもとで。
民芸四十年 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)
次郎は、今、その空林庵の四畳半で、雀の声をきき、その飛び去ったあとを見おくり、そしてしずかに「歎異抄たんにしょう」に読みふけっているわけなのである。
次郎物語:05 第五部 (新字新仮名) / 下村湖人(著)
歎異抄たんにしょう』はこう述べました、「善人なほもちて往生おうじょうぐ、いわんや悪人においてをや」と。
益子の絵土瓶 (新字新仮名) / 柳宗悦(著)