槍傷やりきず)” の例文
卜斎ぼくさいにいわれたまま、押入れから蒲団ふとんをだして、そのうえに身を横たえながら、ひざ槍傷やりきずぬのでまきつけていると、また、すぐ下の土間どまであらあらしい声が起りはじめた。
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
槍傷やりきずでもなく、刀傷でもなく、俗にのど笛と称されている首筋の急所を大きくぐさりとえぐりとられて、さながらその傷口はざくろの実を思わするようなむごたらしさでした。
アウステルリッツでは右の腕にたまを受け、イエナでは左の腰にやはり弾を受け、フリートラントでは銃剣の傷を受け、それに……モスコヴァでは全身に七、八個所の槍傷やりきずを受け
烱々けいけいとまなこを光らして、腰から胸へ、胸から首筋へ、そのどろの足跡と、あの疑問の槍傷やりきずでもない、突き傷でもない、刀傷でもない不思議なえぐり傷とを、見比べ見ながめ