“業突張（ごうつくばり）” の例文
以前から善く聴きなれている「業突張（ごうつくばり）」とか「穀潰（ごくつぶ）し」とかいうような辞（ことば）が、彼女のただれた心の創（きず）のうえに、また新しい痛みを与えた。
あらくれ (新字新仮名) ／ 徳田秋声(著)
何にも知らないから可（よ）し、老婆（ばばあ）も、我等（おれら）と一所に働いた奴だ。人に悪事は饒舌（しゃべる）まい。惜くも無し、心配も無いが、高田の業突張（ごうつくばり）、大層怒ってな。
活人形 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)
ところがあの業突張（ごうつくばり）の事だから、どんな事をして持ってかないとも限らないのさ。そらその日の御飯をあたしに炊（た）かせまいと思って、そういう意地の悪い事を
道草 (新字新仮名) ／ 夏目漱石(著)
「チョッ！　業突張（ごうつくばり）！」と言いながら、車から下りた。あとにいた客は垂幕（たれ）を上げると
黄昏 (新字新仮名) ／ 水野葉舟(著)
日本の魔法使も、埃臭（ほこりくさ）い飛田（とびた）の土の中から、コスモスの芽生（めばえ）には似てもつかない色々（いろん）な物を見せてくれる。業突張（ごうつくばり）の予選派の面（つら）。食（くひ）しん坊の同志会の胃の腑。泥だらけな市長の掌面（てのひら）……。
茶話：02 大正五（一九一六）年 (新字旧仮名) ／ 薄田泣菫(著)
「この業突張（ごうつくばり）、何だとッ。」
日本橋 (新字新仮名) ／ 泉鏡花(著)