楊樹やなぎ)” の例文
村から西に一里ほど、水の少ない石川があって、その向こうに楊樹やなぎの繁茂、路のほとりに一箇の石地蔵、それをお作はいつでも思い出した。
ネギ一束 (新字新仮名) / 田山花袋(著)
枝という枝は南向に生延びて、冬季に吹く風のつよさも思いやられる。白樺は多く落葉して高く空に突立ち、細葉の楊樹やなぎうずくまるように低く隠れている。
千曲川のスケッチ (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
枝という枝は南向に生延はえのびて、冬季に吹く風のつよさも思いやられる。白樺しらはりは多く落葉して、高く空に突立ち、細葉の楊樹やなぎうずくまるように低く隠れている。
藁草履 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
鬱蒼こんもりとしたやなぎの緑がかれの上になびいた。楊樹やなぎにさし入った夕日の光が細かな葉を一葉一葉明らかに見せている。不恰好ぶかっこうな低い屋根が地震でもあるかのように動揺しながら過ぎていく。
一兵卒 (新字新仮名) / 田山花袋(著)