棒片ぼうぎれ)” の例文
それから彼は持っていた木挺のような棒片ぼうぎれドアをこつこつと叩き、私の父が出ると、ぶっきらぼうにラム酒を一杯注文した。
それをば無理無体に荒くれた馬子供まごども叱咜しったの声激しく落ちた棒片ぼうぎれで容捨もなく打ちたたく、馬は激しく手綱たづなを引立てられ、くつわの痛みに堪えられぬらしく、白い歯をみ、たてがみを逆立て
監獄署の裏 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そして古るい石の棺は何世紀もの間閉じていたように再び閉じられた。食人鬼にさかれた骨を暗示するような、割目につきささった一二の棒片ぼうぎれを除いて、その大海獣は石の口をパックと噛んだ。
石や瓦や棒片ぼうぎれが、立ち迷うているムクをめがけて雨のように降る。
大菩薩峠:06 間の山の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
こんな古棒片ぼうぎれをついてぴょっこぴょこ歩いてる俺に、何が出来るかね? 俺も丈夫な船長だった時なら、すぐに訳なく奴に追っついて、さっそくひっ捕えてくれるんだ。そうともよ。