梅雨晴つゆばれ)” の例文
真の梅雨晴つゆばれでないこともまたこの語がよく現している。こういう自然の現象には、古今の相違があるべくもない。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
彼の家を再度訪問おとずれたのは、それからまた二三日経った梅雨晴つゆばれの夕方であった。ふとった彼は暑いと云って浴衣ゆかたの胸を胃の上部まで開け放ってすわっていた。
行人 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
鶴子はホテルを出て梅雨晴つゆばれの俄に蒸暑くなった日盛りをもいとわず、日比谷ひびやの四辻から自動車をやとって世田ヶ谷に往き良人の老父をたずねて、洋行のはなしをすると
つゆのあとさき (新字新仮名) / 永井荷風(著)
梅雨晴つゆばれの日はわかこえきらきらとおん髪をこそ青う照りたれ
舞姫 (新字旧仮名) / 与謝野晶子(著)
梅雨晴つゆばれの波こまやかに門司もじせき
六百句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
梅雨晴つゆばれや蜩鳴くと書く日記
病牀六尺 (新字旧仮名) / 正岡子規(著)
梅雨晴つゆばれゆうあかねしてすぐ消えし
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)