柳行李やなぎこうり)” の例文
その本数を事務所で誤間化ごまかして一本三十銭から五十銭で売り出す……ズット以前の取引ですと手頃の柳行李やなぎこうりに一パイ詰めた奴を、どこかの横路次で
爆弾太平記 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
芭蕉布ばしょうふふすまを開けると、押入の上段は夜具、下には柳行李やなぎこうりが見える。小野さんは行李の上に畳んである背広せびろを出して手早く着換きかえ終る。帽子は壁にぬしを待つ。
虞美人草 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
見ると八畳の間一パイに新聞や小説や雑誌の類が柳行李やなぎこうりや何かと一緒に散らばっていて、真中の鉄瓶のかかった瀬戸物の大火鉢のまわりすこしばかりしか坐るところがない。
あやかしの鼓 (新字新仮名) / 夢野久作(著)