柔々やわやわ)” の例文
からからと鳴るかと思われ、春から夏にかけて、水蒸気の多い時分には、柔々やわやわと消え入るように、またはたこの糸のように、のんびりしている。
日本山岳景の特色 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
ぬっと、障子一杯の大きな顔になって、私の胸へ、雪の釣鐘ほどの重さが柔々やわやわと、ずしん! とかかった。
菊あわせ (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
喜十郎旦那がとこで、ふっくりと入れさっしゃる綿の初穂へ、その酒浸しの怪物ばけものさ、おっころばしては相成んねえ、柔々やわやわ積方も直さっしゃい、と利かぬ手のこぶしを握って、一力味ひとりきみ力みましけ。
草迷宮 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「牛肉のひれや、人間の娘より、柔々やわやわとしてあぶらが滴る……甘味うまいぞのッ。」
茸の舞姫 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)