林檎畑りんごばたけ)” の例文
林檎畑りんごばたけ案山子かかしは、樹の頂上からぴょこんと空中へ今正に飛び出した所だと云ったような剽軽ひょうきんな恰好をしている。
札幌まで (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
あくる朝、村は騒動であった。三歳の太郎が村からたっぷり一里もはなれている湯流山ゆながれやまの、林檎畑りんごばたけのまんまんなかでこともなげに寝込んでいたからであった。
ロマネスク (新字新仮名) / 太宰治(著)
すると友達の悪太郎に使嗾しそうせられて、隣村の林檎畑りんごばたけ夜襲ナイトレーデを行ったことを、歴然と思い出しました。それは少年の心をわくわくさせるようなロマンチックな冒険でした。
若杉裁判長 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
わざと遠廻りをして、村から離れた旧陣屋跡まで来ると、これも藩の佐久間象山が移植させたのだという林檎畑りんごばたけがある。その低い枝の下を潜って、ひとりの男が、向うへ行く。
銀河まつり (新字新仮名) / 吉川英治(著)
近道をして、林檎畑りんごばたけを抜けて行きます。林檎の花は、もう、ちらほら、咲いてゐます。
けむり(ラヂオ物語) (新字旧仮名) / 岸田国士(著)