松井町まついちょう)” の例文
それをなだめたりすかしたりしながら、松井町まついちょううちへつれて来た時には、さすがに牧野も外套がいとうの下が、すっかり汗になっていたそうだ。……
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
細君さいくんが席に呼び入れられた。そしてもし渋江道純の跡がどうなっているか知らぬかと問われて答えた。「道純さんの娘さんが本所松井町まついちょう杵屋勝久きねやかつひささんでございます。」
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
しかしおれんの憂鬱は、二月にはいってもない頃、やはり本所ほんじょ松井町まついちょうにある、手広い二階家へ住むようになっても、不相変あいかわらず晴れそうな気色けしきはなかった。
奇怪な再会 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
皮足袋かわたびの四十に足を踏込みぬ」の句がある。二十七年には脩の次男行晴ゆきはるが四月十三日に三歳にして歿した。くがが十二月に本所松井町まついちょう三丁目四番地福島某の地所に新築した。即ち今の居宅きょたくである。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)