杏庵きょうあん)” の例文
「牢屋づきの中根杏庵きょうあんが、折わるく、きょうは自宅にもおりません。どこやらの病人を、遠くまで、に行ったとかで」
大岡越前 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
妻籠つまごの寿平次、実蔵(得右衛門の養子)、落合の勝重かつしげ、山口の杏庵きょうあん老、いずれも半蔵には久しぶりに合わせる顔である。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
隣村山口から薬箱をさげてかよって来る医者杏庵きょうあん老も多くを語らないから、病勢の進みについては彼は何も知らない。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
変事を聞いて夜中に駕籠かごでかけつけて来た山口村の医者杏庵きょうあん老人ですら、それは知らないとのこと。
夜明け前:04 第二部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)