本位ほんい)” の例文
どっち本位ほんいで来たのか、それは彼の心がよく承知していた。けれども雨をしのいでここまで来た彼には、まだ商量しょうりょう隙間すきまがあった。躊躇ちゅうちょがあった。幾分の余裕が残っていた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
そうおもうと、いいれぬ不快ふかいを、だれがしたか、この残忍ざんにん行為こういからかんじられました。きているとり本位ほんいにして、かえって、無理むりとりちいさくしようとする、冷酷れいこくさをおもわずにいられません。
自由 (新字新仮名) / 小川未明(著)