曝書ばくしょ)” の例文
曝書ばくしょは久しく高閣に束ねた書物を眺めやって、初め熟読した時分の事を回想し時勢と趣味との変遷を思い知る機会をつくるからである。
濹東綺譚 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
曝書ばくしょというと書物のみに限られるようだが、虫干といえば包含する範囲が広くなる。この句は虫干の中における書物の場合である。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
曝書ばくしょ風強し赤本あかほん飛んで金平きんぴら怒る
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
一 黄梅こうばいの時節漸く過ぐ、正に曝書ばくしょすべし。たまたま趙甌北ちょうおうほくの詩集をひもとくに左の如き絶句あるを見たり。
一夕 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
曝書ばくしょ風強し赤本飛んで金平怒る」
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
浩瀚こうかんの秋まで続く曝書ばくしょかな
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
折から枕山も苦吟しながら外をあちこち歩いている中みぞち泥まみれになって帰って来た。塾生らは苦吟のために一人は曝書ばくしょを雨にぬらし、一人は衣服を泥にしたと言って笑った。
下谷叢話 (新字新仮名) / 永井荷風(著)