易書えきしょ)” の例文
其の上に易書えきしょを五六冊積上げ、かたえ筆立ふでたてには短かき筮竹ぜいちくを立て、其の前に丸い小さなすゞりを置き、勇齋はぼんやりと机の前に座しましたさまは、名人かは知らないが、少しも山も飾りもない。
そのうちに自ら奮って『四書ししょ』の集註しゅうちゅうを読み、十五歳には『易書えきしょ』や『春秋しゅんじゅう』のたぐいにも通じるようになった。寒さ、暑さをいとわなかった独学の苦心が、それから十六、七歳のころまで続いた。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)