旅屋やどや)” の例文
斯の兄は其頃から度々上京しまして旅屋やどやに日を送りましたから、私もよく銀座邊の寄席へは連れられて行きましたが、騷がしい樂屋の鳴物だの役者の假白こわいろだのを聞いて居ると
やがて余はこの紺服の人に紹介された。紹介されて見ると、これは商業学校出の谷村君で、無論旅屋やどやの亭主ではなかった。谷村君はこの地で支那人と組んで豆の商売を営んでいる。
満韓ところどころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
その前日大阪に来てその頃南本町みなみほんまちにあつた船場せんば館といふ旅屋やどやに泊つた。
やつと旅屋やどやを見つけて、泊り込むと、直ぐと南京虫がちくちくしに来るので、とても寝つかれない。留学費のなかから買込むだ大缶おほくわん蚤取粉のみとりこを、惜気をしげもなくばらいてみたところで一向利き目が無い。