施米せまい)” の例文
「だからあつしはしやくにさはるんで、あれ程の娘を人身御供に上げるんだから、三千石くらゐは施米せまいに出したところで、たいしたことはあるまいと——」
「そんなことがあるものかね。たとえ、お施米せまい小屋のような中へ、わらをかぶって寝ればとて、みんなで一緒に暮らしているほど、しあわせなことはないんだよ」
鳴門秘帖:02 江戸の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「なるほど、それで、おはなしの筋は呑みこめました。では、町奉行所にお願いを立て、貧民への施米せまい、破格の廉売やすうりというのも、まことのことでござりますな?」
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
一年まえから、市中の数カ所に『お救い小屋』が設けられ、またしばしば施米せまい施粥せがゆが行われた。それは、そのとおりであるが、規定どおりに行われることはなかった。
花も刀も (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
微笑して施米せまいをお受けになった。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
おいぼれて人のしりへに施米せまいかな
五百句 (新字旧仮名) / 高浜虚子(著)
「それだよ、お品さん、人さらいのあった町は、みんな本銀町ほんしろがねちょう巴屋三右衛門ともえやさんえもんが、施米せまいをした町ばかりだ」
「お坊さん、お施米せまいをもらうなら台所の方へ廻らなければだめだよ。裏門を知らないのかい」
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
天井知らずにあがっている米価が、ずうんと下るは必定——その上、施米せまいなぞもいたすつもりで、お上役向、名高い御寺の上人さまにも、御相談申しておれば、おかげで、広海屋の名は
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)