“擬兵(ぎへい)” の例文
「擬兵(ぎへい)、偽陣。これはただ人を惑わす詐術(さじゅつ)に過ぎない。こんなものに昨日からいらざる惑いを抱いていたことの恥かしさよ」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
渭南の県令から登用した校尉(こうい)丁斐(ていひ)の策を用いて、河畔の堤の蔭に沿うて仮陣屋を築かせ、擬兵(ぎへい)偽旗(ぎき)を植えならべて、実際の本陣は、すでにほかへ移していたのである。
三国志:08 望蜀の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「せっかく白帝城へ近づきながら石の擬兵(ぎへい)や乱石の八陣を見て、急に退いてしまったのは、一体いかなるわけですか、ほんものの孔明が現れたわけでもありますまいに」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そして、蜀の旗が見える山は避けて廻ったが、それはみな擬兵(ぎへい)に過ぎなかったことがあとで判った。先廻りした雷同が、諸所へ兵を登らせて、やたらに旗ばかり立てていたのである。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その夜、陣所陣所にたくさんな篝(かがり)を焚かせ、おびただしい旗を立てつらね、さも今にも会稽城へ攻めかかりそうな擬兵(ぎへい)の計をしておいて、その実、査涜へ向って、疾風の如く兵を転じていた。
三国志:04 草莽の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)