はさま)” の例文
新字:
なぜと言って今日でさえ、我々の詩人と小説家との間には、どうしても理解できない或るものがはさまっているから。
詩の原理 (新字新仮名) / 萩原朔太郎(著)
やがて一同食卓に着いたが、何だか奥歯に物がはさまっているようなかたちであった。乃公は余り気の毒だったから、五杯目のアイスクリームは喉へ通らなかった。
いたずら小僧日記 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
被告一人に一人宛の看守が附いて被告と被告との間には一人宛必ずはさまつて腰を掛けて居た。裁判官、検察官、書記が着席し、弁護人も列席して法廷は正しく構成された。
逆徒 (新字旧仮名) / 平出修(著)
昨夜なぞは、林檎畠りんごばたけのようなところへ追詰められて、樹と樹の間へ私の身体がはさまって、どうにも逃げ場を失って了った……もうすこしで其奴そいつに捕まるかしらん……と思ったら目がめました。
家:01 (上) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)