拳骨げんこ)” の例文
独帝カイゼルはぶつぶつぼやきながら宮城に引きかへした。そして侍医の鼻先に血だらけな拳骨げんこをぐつと突き出した。侍医は叮嚀に繃帯をした。
自分の頭をぽかぽかと拳骨げんこなぐって、うろうろと、いまにも泣き出しそうな顔を、朝靄あさもや彼方あなたへ上げた。
松のや露八 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それで平気で煙草タバコを吹かしている。その背中が真ん丸いので、あたしは拳骨げんこでコツコツたたいた。
拳骨げんこを固めて飛出そうとするのを清兵衛が押止めまして
名人長二 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宮川氏が素晴しい雄弁で日本が明日にも滅びてしまひさうな事を言つて、大きな拳骨げんこ卓子テーブルを一つどしんと叩くと、刀自は感心の余り椅子にもたれた身体からだにぐつと力を入れた。
筋ばつた拳骨げんこでもつて卓子テーブルを一つどしんと叩き付けた。
独帝カイゼル拳骨げんこ3・28(夕)