手品てづま)” の例文
ぴんからきりまで心得て穴熊あなぐま毛綱けづな手品てづまにかゝる我ならねば負くるばかりの者にはあらずと駈出かけだしして三日帰らず、四日帰らず、あるいは松本善光寺又は飯田いいだ高遠たかとおあたりの賭場とばあるき
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
噺の途中へお化けのでるときは私は都楽とらく都船とせんの写し絵をつかいたい、忍びの術使いのでるときには鈴川一座の日本手品てづまや水芸もつかいたい、時と場合によったら筋の都合で
小説 円朝 (新字新仮名) / 正岡容(著)
「何だ手品てづまでも使う気なのか、その手帛で」
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
手品てづまの太鼓を杯洗で鐵がたゝけば、清吉はお房が傍に寐転んで銀釵かんざしにお前其様そのよに酢ばかり飲んでを稽古する馬鹿騒ぎの中で、一了簡あり顔の政が木遣を丸めたやうな声しながら
五重塔 (新字旧仮名) / 幸田露伴(著)