戒行かいぎょう)” の例文
すると岩殿と云う神は、天魔にも増した横道者おうどうものじゃ。天魔には世尊御出世せそんごしゅっせいの時から、諸悪を行うと云う戒行かいぎょうがある。
俊寛 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
お前さんは下戸げこで、戒行かいぎょうが堅固で、気が強い、それでこれほどの怪我をしたのに、目をまわさずに済んだ。この三つが一つけていたら、目を廻しただろう。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
今生の業縁ごうえんとなってむくわれぬというためしはございませぬ……十善の戒行かいぎょうしゅした報いが、今生において天子の位に登ると平家物語から教えられました
大菩薩峠:23 他生の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)
けれどもテーモ・リンボチェに対しては一つの欠点を打つべき所もなかったのであります。誠にその戒行かいぎょう清浄しょうじょうであって人をあわれみ救わるる点においても実に感心の至りであった。
チベット旅行記 (新字新仮名) / 河口慧海(著)
志玄しげんという僧があったが、戒行かいぎょうの厳しい僧で、法衣も布以外の物は身にけない。また旅行しても寺などに宿を借らないで、郭外こうがいの林の中に寝た。ある時縫州城ほうしゅうじょうの東十里の処へ往って墓場へ寝た。
老狐の怪 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
あらゆる戒行かいぎょうのうち、忍辱にんにくにまさる功徳くどくは無いと釈尊も仰せになりました。
大菩薩峠:26 めいろの巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)