懺悔こひさん)” の例文
もしわれにして、汝ら沙門の恐るる如き、兇険無道の悪魔ならんか、夫人は必ず汝の前に懺悔こひさんの涙をそそがんより、速に不義の快楽けらくに耽って、堕獄の業因ごういんを成就せん
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
右紅毛の伴天連ばてれんろどりげ儀、今朝こんてう伊留満いるまん共相従へ、隣村より篠宅へ参り、同人懺悔こひさん聞き届け候上、一同宗門仏に加持致し、或は異香をくゆらし、或は神水を振りそそぎなど致し候所
尾形了斎覚え書 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
とある年の秋の夕暮、われ独り南蛮寺の境内けいだいなる花木はなきの茂みを歩みつつ、同じく切支丹きりしたん宗門の門徒にして、さるやんごとなきあたりの夫人が、涙ながらの懺悔こひさんを思いめぐらし居たる事あり。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
しばしば DS が天人てんにんのために苦しめらる。汝知らずや、さきの日汝が懺悔こひさんを聞きたる夫人も、「るしへる」自らその耳に、邪淫じゃいんの言を囁きしを。ただ、わが心弱くして、飽くまで夫人をさそう事能わず。
るしへる (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)