憶出おもいいだ)” の例文
うれしそうに人のそわつくを見るに付け聞くに付け、またしても昨日きのうの我が憶出おもいいだされて、五月雨さみだれ頃の空と湿める、嘆息もする、面白くも無い。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
キット思付いた、イヤ憶出おもいいだした事が有る。今初まッた事では無いが、先刻から酔醒めの気味で咽喉のどが渇く。水を飲めばかわきまるが、シカシ水は台所より外には無い。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
「ハテそうしては彼娘あれが……」ト文三は少しくしおれたが……不図又叔母の悪々にくにくしい者面しゃっつら憶出おもいいだして、又憤然やっきとなり、「糞ッ止めても止まらぬぞ」ト何時いつにない断念おもいきりのよさ。
浮雲 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)