慰藉料いしゃりょう)” の例文
英国海軍士官の面前において斬首ざんしゅすべき事、被害者の親戚しんせきおよび負傷者の慰藉料いしゃりょうとして二万五千ポンドを支払うべき事をも付け添えて来た。
夜明け前:01 第一部上 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
けれど、琵琶き娘の宋という男親は宋江から思いがけない慰藉料いしゃりょう銀子ぎんすをもらい、涙をながして、その晩、彼の部屋からもどって行った。
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
口をいてもいけない。手紙をよこしてもいけない。これが第一の条件だ。わかったかい。第二は、おれに慰藉料いしゃりょうを出すことだ。その額は五百万円。
月と手袋 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
「何でもいから、慰藉料いしゃりょうを五十円出し給え。君達の隠し芸には若手連中から苦情が出ているんだ」
冠婚葬祭博士 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
海で死んだ船子の遺族たちも、不満足な慰藉料いしゃりょうに対しても文句らしいことは云わず、亡くなった良人おっとや息子や父のことを、悲しむ思いで心がいっぱいだったにちがいない。
おごそかな渇き (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
「いいや! 本当に亡くなられたんです。これはわずかばかりですが、工場のほうからの遺族慰藉料いしゃりょうというわけで、お香典なのですが、まあ、これを何よりの証拠と思っていただきたいんです」
猟奇の街 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
離婚問題も慰藉料いしゃりょう問題も鳥の世界には起こり得ないのである。
あひると猿 (新字新仮名) / 寺田寅彦(著)
被害者の親戚しんせきおよび負傷者の慰藉料いしゃりょうとしてイギリスから請求のあった二万五千ポンドはそのままに残っていて、あの問題はどうなったろうとは、かねて多くの人の心にかかっていた。
夜明け前:02 第一部下 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)