愁訴しゅうそ)” の例文
何とぞ早くその故をただして始めの如く同室に入らしめよと、打ちかこつに、もとより署長の巡廻だにあらば、直ちに愁訴しゅうそして、互いの志を達すべし
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
さらに愁訴しゅうそすると、奥から親爺が顔を出して、さあさあ皆さん帰りなさい、いまは日本では酒の製造量が半分以下になっているのです。貴重なものです。
未帰還の友に (新字新仮名) / 太宰治(著)
九章十章のヨブの語の中、九章一節—二十四節は友に対する返答、九章二十五節—三十五節はおのれに対する語(すなわち独語)、十章全部は神に向っての愁訴しゅうそである。
ヨブ記講演 (新字新仮名) / 内村鑑三(著)
天皇御自身は、お困りなのであるが、まわりの者が、天皇のお名をかざして、しゃ二、軍備をすすめている。じつに嘆かわしいことだと、愁訴しゅうそしているように読まれる。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
そもそもこのたび、京都の騒動、聞いてもくんねえ、長州事件の咽喉元のどもと過ぐれば、熱さを忘れるたとえにたがわぬ、天下の旗本、今の時節を何と思うぞ、一同こぞって愁訴しゅうそをやらかせ
大菩薩峠:24 流転の巻 (新字新仮名) / 中里介山(著)