悲憤慷慨ひふんこうがい)” の例文
悲憤慷慨ひふんこうがいに時を費やしているときではない、……そう云っては違うかも知れない、今かれを奮起させたのはもっと本質的な情熱であろう
日本婦道記:尾花川 (新字新仮名) / 山本周五郎(著)
最初、彼らは革命の失敗者として、清盛きよもりののしり、平家の一門を呪い、陰謀の周密でなかったことを後悔し、悲憤慷慨ひふんこうがいに夜を徹することが多かった。
俊寛 (新字新仮名) / 菊池寛(著)
と彼は思っているのであろう。悲憤慷慨ひふんこうがいということが抑〻そもそもきらいなのだ。涙をすらうっかりは買わない内蔵助なのである。
新編忠臣蔵 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
時には自分になまじい物質的な利得ばかりを与えながら昔日の尊敬を忘れ去り、学商呼ばわりする世情を、気狂いのようになって悲憤慷慨ひふんこうがいすることもある。
食魔 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
「そうとも。たといかの柔弱男子が悲憤慷慨ひふんこうがいしたところで、畢竟ひっきよう人形のなみだじゃわい。何ごとが出来るものか」
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
と毎日悲憤慷慨ひふんこうがいして、午後の授業を休んだ。
凡人伝 (新字新仮名) / 佐々木邦(著)
「若い、若い。口では誰でも、悲憤慷慨ひふんこうがいはいえるものだが、自分で、やれといわれたら、何もできるものじゃない」
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)