息窒いきづ)” の例文
石で床をきつめたその不気味な広いへやは、息窒いきづまるような沈黙でおしつけられていた。屍体のそばには、今までそれを包んでいたらしい、血痕の附着した敷布があった。
青蠅 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
と、その矢先、壇上の一角に闇が破られて、一本の燐寸マッチの火が、階段を客席の方に降りてきた。それから、ほんの一ときであったが、血が凍り息窒いきづまるようなものが流れはじめた。
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)