思附おもいつき)” の例文
「先ず何よりもおよろこびを言わんではなるまい。さて講釈の事だが、これはまた至極のお思附おもいつきだ。委細承知しました」と抽斎はこころよく諾した。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
どうして歌をお思附おもいつきになったのだろう、よほどおうれしいのに違いないと思いますと、いつか目頭めがしらが熱くなりました。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
君、なんとすてきな、思附おもいつきではありませんか。
D坂の殺人事件 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ああ、それは思附おもいつきだよ。
それはいお思附おもいつきである。この度の事については、命乞いのちごいの仲裁なら決して聴くまいと決心していたが、晴がましい死様しにざまをさせるには及ばぬというお考は道理至極である。
渋江抽斎 (新字新仮名) / 森鴎外(著)