快走船ヨット)” の例文
ボア・ド・ブウロニュ街の薔薇ばらいろの大理石の館、人知れぬロアル河べりのあしの中のシャトウ、ニースのなみつな快走船ヨットしま外套がいとうを着た競馬の馬
(新字旧仮名) / 岡本かの子(著)
聞くところによればユーゴーは快走船ヨットの上へ寝転ねころんで文章の趣向を考えたそうだから、船へ乗って青空を見つめていれば必ず逆上受合うけあいである。
吾輩は猫である (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
トム公は、草原の中に乾いている快走船ヨットの中で、阿片あへんの混合している噛み煙草を噛んで、黄いろい泡を口の中で揉みながら、夕方の空をながめていた。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)
善美を尽した私有快走船ヨットエイメ号に招待して豪奢な水上の避暑旅行に出た。
海妖 (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
赤い帆の快走船ヨット、白い帆の快走船。また、猫背なヤンコの鉄骨の上には、秋の午後の陽がとろりとうすずいて、C字形の築港に抱かれた港内の海はまるで思春期の猟虎ラッコの肌みたいに滑らかだ。
かんかん虫は唄う (新字新仮名) / 吉川英治(著)