忌明きあ)” の例文
決しておばれざるべしとの覚悟さえ生じければ、亡夫が一週年の忌明きあけを以て、自他相輔あいたすくるの策を講じ、ここに再び活動を開始せり。
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
「もっとも、陣触れをうけた前日に、父の貞氏が、あいにくと病死した。子としては、忌明きあけの法事なども見て……と考えていたろうがの」
私本太平記:06 八荒帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「——あの歌舞伎へ入らっしゃいました。今日はお坊ちゃまの忌明きあけだから、久し振りで気保養に行って来る、旦那様は会社の方から直ぐ木挽町こびきちょうへお廻りになる筈だからとおっしゃいまして——」
葬送行進曲 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
「あと二日で、ちょうど四十九日の忌明きあけ。忌明けを前に、弟さんが帰ってくるなんて、やはり争えないもんだね」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)