忉利天とうりてん)” の例文
………ソノ時僕ハ第四次元ノ世界ニ突入シタトイウ気ガシタ。タチマチ高イ高イ所、忉利天とうりてん頂辺てっぺんニ登ッタノカモ知レナイト思ッタ。
(新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
その声にきけば、一層奥ゆかしくなおとうとい忉利天とうりてんの貴女の、さながらのおんかしずきに対して、かれは思わず一礼した。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それからこの北洲の人はことごとく十善を行い悪行を教えさず。みな寿千歳で欠減する者なし。死後は忉利天とうりてんに生まれ天上で終ってこの閻浮提えんぶだい洲の富貴人に生まれる。
文答師は、母公御報恩のためならば釈迦像がよろしゅうございましょう、昔忉利天とうりてん摩耶夫人まやぶにんに恩を報ぜられた例がございます、と奏上した。そこで釈迦像にきまった。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
梯の子十五、六ばかりを踏みて上れば、三十三天、夜摩天、兜率天とそつてん忉利天とうりてんなどいうあり、天人石あり、弥勒仏みろくぶつあり。また梯子を上りて五色の滝、大梵天、千手観音などいうを見る。
知々夫紀行 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
忉利天とうりてんのお姿では勿体ないと思うのですから。……お心安く願います。
夫人利生記 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)