心臓ハート)” の例文
旧字:心臟
こんな風に口や心臓ハートを持っている神様は炉の神ばかりで、他の神様をまつるには、只イナオを立てるばかりのようでございます。
濃厚にかさを持って、延板のべいたのように平たく澄んでいる、大岳の影が万斤の重さです、あまりしずかで、心臓ハート形の桔梗の大弁を、象嵌ぞうがんしたようだ
梓川の上流 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
なぜなら、スペードから心臓ハートの形をとってしまえば、残ったものが、てっきり卓子灯スタンドの台としか思えないじゃありませんか。
白蟻 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
今、お宅へ伺つたら、こちらだといふ事でしたから。……一寸ちよつと畑の方をのぞいて来たんですが、まあ、何と言つたらいゝんでせうかね。僕等のやうな弱い心臓ハート
新らしき祖先 (新字旧仮名) / 相馬泰三(著)
「チャアリイ、僕は昨夜晩く迄役所に残って、このリィド事件の心臓ハートを掴もうと努めてみたのだ——」
土から手が (新字新仮名) / 牧逸馬(著)
始めわたくしは理解のある女性にょしょうとして奥さんに対していた。私がその気で話しているうちに、奥さんの様子が次第に変って来た。奥さんは私の頭脳に訴える代りに、私の心臓ハートを動かし始めた。
こころ (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
都市の心臓ハートか、熔鉱炉
大阪を歩く (新字新仮名) / 直木三十五(著)
それは柳の木を一尺五寸位に切って、上の方に切口をつけて神様の口にかたどり、炉の焼けくずを結えつけてフッチの心臓ハートとしてあります。
アンネットの裡には、不羈ふきな自由精神があって、彼女の心臓ハートの力で殺すことが出来ない。
アンネット (新字新仮名) / 宮本百合子(著)