御製ぎょせい)” の例文
また、御製ぎょせいを遊ばされた折り、料紙を召された事がある。ところが、宮中にはその時もう一枚の短冊すらなくなっていた。
にらみ鯛 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
かつての御製ぎょせいには、そうした歌もみえている。王政一新の理想にしても、民を基盤としてのみあることだ。かならずや死に臨んではお胸にわびておられたにちがいない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
美作の国久米の皿山にて御製ぎょせいがありました「聞き置きし久米の皿山越えゆかん道とはさらにおもひやはせむ」と太平記に出てありますと、講談師の放牛舎桃林ほうぎゅうしゃとうりんに聞きましたが
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
文時は、御製ぎょせいいみじく、下七字は文時が詩にも優れて候、と申した。これははばかりて申すならんと、ふたたび押返し御尋ねになった。文時是非なく、まことには御製と臣が詩と同じほどにも候か、と申した。
連環記 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
これらの御製ぎょせいにみても、吉野はもう花の雲だったにちがいない。
私本太平記:13 黒白帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)