御苑ぎょえん)” の例文
右に御台みだい、左にご簾中れんちゅうを従えさせまして、吹上御苑ぎょえんに臨時しつらえましたお土俵の正面お席にお着座なさいました。
「とはいえ、本能寺や二条の火の粉は、禁裡きんり御苑ぎょえんにふりそそいだであろう。恐れ多いことではある」
新書太閤記:07 第七分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
十一月七日の車駕しゃが御到着の日などは、雲もない青空に日がよく照って、御苑ぎょえんも大通りも早天から、人をもってうずめてしまったのに、なお遠く若王子にゃくおうじの山の松林の中腹を望むと
山の人生 (新字新仮名) / 柳田国男(著)
御苑ぎょえんにはまた、およそめずらしい、かわり種の花ばかりさいていました。
拝観の御苑ぎょえん雉子きじきどよもせり
六百五十句 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
遊廓くるわも以前には、二条にあったものですが、大内裏だいだいりに近うて、夜半よなかなどには、民歌や俗曲が、御苑ぎょえんのほとりに立つとかすかに耳にさわるというので、所司代の板倉勝重いたくらかつしげどのが
宮本武蔵:05 風の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)