御燈明おとうみょう)” の例文
新字:御灯明
丁子などというと、われわれの連想はとかく神棚かみだな御燈明おとうみょうに行きがちであるが、こういう油火が一般の燈火であったことに留意しなければならぬ。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
奥の壁つきには六字名号みょうごうふくをかけ、御燈明おとうみょうの光ちら/\、真鍮しんちゅう金具かなぐがほのかに光って居る。みょうむねせまって来た。
みみずのたはこと (新字新仮名) / 徳冨健次郎徳冨蘆花(著)
御燈明おとうみょうの光に斜め下から照らされた香薬師像は実際何とも言えぬほど結構なものである。ほのかに微笑の浮かんでいるお顔、胴体に密着している衣文の柔らかなうねり。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
わななきわななき御燈明おとうみょうをあげ、親子四人、先祖の霊に手を合せて、いまはこれまでと思うところに、子守女どたばたと走り出て、二人の子供を左右にひしとかかえて頬ずりして、あんまりだ
新釈諸国噺 (新字新仮名) / 太宰治(著)
腰衣こしごろもを着けた六十近い尼が御燈明おとうみょうけに参りましたから
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)