御断おことわり)” の例文
旧字:御斷
その横の真黒くすすけた柱へ「掛売かけうり一切いっさい御断おことわり」と書いた半切はんぎりが貼って在るが、煤けていて眼に付かない。
骸骨の黒穂 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
『拝啓。昨日は永々御邪魔仕り、奉謝候。帰宅候処、無拠よんどころなき用事出来、乍残念、来四日は、出難く候間、御断おことわり申上候。此次御出遊の節、御供仕度楽み居り候。頓首。』
元日の釣 (新字旧仮名) / 石井研堂(著)
実は私からお願い申しまするはずでござりましたが、かようなものでも、主人あるじ思召おぼしめし、成りませぬ処をたっても御承知下さいますようでは、恐れ入りまするから、御断おことわりの遊ばし可いよう
湯女の魂 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
なほ幾久しくまん/\年までも相変らずといはひ入まゐらせ候、すゑながらどなた様にもよろしく御申伝へいただけ候やう、ねがひ上まゐらせ候。御目録にて失礼の御事、よろしく御断おことわり申上まゐらせ候。
鴎外の思い出 (新字新仮名) / 小金井喜美子(著)
大勲位の御媒酌なんて有難いことは無いと、奥様も大層な御歓喜およろこびいらしつたで御座いませう、其れをお嬢様、貴嬢がキツパリ御断おことわりになつたもんですから……御両所おふたりの御立腹は如何いかがで御座いました
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)