御廟おたまや)” の例文
貴客あなた、五十鈴川で嗽手水うがいちょうず、神路山を右に見て、杉の樹立こだちの中を出て、御廟おたまやの前でほのぼのとしらみますという、それから二見ヶ浦へ初日の出を拝みに廻られまする、大層な人数。
伊勢之巻 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
藍丸王はあくる朝眼を覚ますと直ぐに身支度を済まして、昨日きのうのように紅木大臣と一所にお城の北の先祖の御廟おたまや参詣おまいりをしたが、それからのちは昨日のように種々いろいろな大仕掛な出来事は無かった。
白髪小僧 (新字新仮名) / 夢野久作杉山萠円(著)
それが今では増上寺の御廟おたまやと言っても殆ど知らぬ人が多い。
増上寺物語 (新字新仮名) / 佐藤垢石(著)
日光の御廟おたまやの天井に、墨絵の竜があって鳴きます、尾の方へ離れると音はしねえ、あごの下の低い処で手を叩くと、コリンと、高い天井で鳴りますので、案内者は、勝手に泣竜と云うのでございますが
唄立山心中一曲 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)