御嫡子ごちゃくし)” の例文
しかし御嫡子ごちゃくしの若様におちちをあげたという深い縁故をもっている彼女は、その後も屋敷へお出入りを許されて御主人からは眼をかけられていた。
箕輪心中 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
「義龍様は道三様の立てた御嫡子ごちゃくしではないか。道三様が御主君なら義龍様も御主君であらせられる」
新書太閤記:01 第一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それがしだけを殺して、御嫡子ごちゃくしの一命を無事に救おうと召さることは、所詮しょせん、難事でござろう。
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
命知らずの強者輩つわものばらも、さすがは正成公の御嫡子ごちゃくしよと、泣かぬ擒人とりことてはなかったのです。
日本名婦伝:大楠公夫人 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「これに連れて参りました侍は、佐々木六角殿の旗下きかでも、かねて勇名の聞えていた日野城のあるじ蒲生賢秀がもうかたひでどの。——また、側にひかえているのは、御嫡子ごちゃくし鶴千代つるちよどのでございます」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「官兵衛どの。昨日、国許くにもとの家臣から参った消息によれば、御嫡子ごちゃくし松寿丸しょうじゅまるどのには、いよいよすこやからしく、また、馴れぬ周囲の者にも、ようやくなついて、息災でおられる由、御安心なさるがよい」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「お、おのれ、幼い御嫡子ごちゃくしを捕え奉って、な、なんとするぞ」
新書太閤記:04 第四分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)