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ごちゃくし
命知らずの
強者輩も、さすがは正成公の
御嫡子よと、泣かぬ
擒人とてはなかったのです。
「これに連れて参りました侍は、佐々木六角殿の
旗下でも、かねて勇名の聞えていた日野城の
主、
蒲生賢秀どの。——また、側にひかえているのは、
御嫡子鶴千代どのでございます」
「官兵衛どの。昨日、
国許の家臣から参った消息によれば、
御嫡子の
松寿丸どのには、いよいよ
健やからしく、また、馴れぬ周囲の者にも、ようやく
懐いて、息災でおられる由、御安心なさるがよい」