後苑こうえん)” の例文
されどもほしいままに謝張を殺し、みだりに年号を去る、何ぞ法を奉ずると云わんや。後苑こうえんに軍器を作り、密室に機謀を錬る、これぶんしたがうにあらず。
運命 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
その夜将軍家は近習も連れず、一人後苑こうえん彷徨さまよっていた。と、一人の非常な美人が、突然前へ現われた。見たことのない美人であった。大奥の女でないことは、その女の風俗で知れた。
銅銭会事変 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
いかにも高雅につくられてある後苑こうえん——そこを頼春はさまよって行った。
あさひの鎧 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)