彼犬あれ)” の例文
それでね、射殺うちころそうとして鉄砲を取りに行っているうちに、彼犬あれが逃げだして、それっきり何処へ行ってしまったのか、誰も見かけた者がないっていうのよ
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
パイロットではないだらうか、彼犬あれは臺所のドアが開け放してあるやうなことがあると、ロチスター氏の部屋の敷居しきゐのところまで上つて來るのは珍らしくないのだから。
其の中に戸外で狗の吠える聲を聞くと、アゝ彼の狗は非常に上手に鴫狩りをする。彼犬あれを連れて伯父の鳥銃てつぱうを持ち出して、今度の日曜は柏から手賀沼附近を渉獵して見たい。
努力論 (旧字旧仮名) / 幸田露伴(著)
お前さん知らないの? ウールトオの家の犬ね、あのでっかい赤犬あかよ。彼犬あれが狂犬になったんだとさ。
生さぬ児 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)