形影けいえい)” の例文
走りわっぱの幼時から、俊基に可愛がられて来て、このおあるじに仕えること、形影けいえいもただならぬ侍童の菊王は
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たとひそれが形影けいえい相伴あいともなはぬもので、実際は寧ろ男爵自身の乱行の反映と見た方が正しかつたにせよ、やはり幾分は彼女の病弱のせゐにしていいやうに考へられる。
垂水 (新字旧仮名) / 神西清(著)
歳暮にはじまり元旦で終るので、回文格かいぶんかくだなどと支考は理窟をいっているが、俳文の格などはどうでもいい。「影法師対」の内容は近頃の人も時々やる形影けいえい問答である。
古句を観る (新字新仮名) / 柴田宵曲(著)
宿昔青雲志、蹉跎白髪年、誰明鏡裏、形影自相憐宿昔しゅくせき 青雲せいうんこころざし蹉跎さたす 白髪はくはつとし。誰か知る明鏡めいきょううち形影けいえいみずかあいあわれむ〕とはこれ人口に膾炙かいしゃする唐詩なり。
矢はずぐさ (新字旧仮名) / 永井荷風(著)