当麻タギマ)” の例文
旧字:當麻
女盛りをまだ婿ムコどりなさらぬげの郎女さまが、其力におびかれて、この当麻タギマまでお出でになつたのでなうて、何でおざりませう。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
初めに、滋賀津彦のよみがえりの場合と、郎女の魂呼タマヨバいの場面とが出て来る。この二節を読んだだけで、もう語部カタリベオウナのいた時代の当麻タギマの里に、読者は引き入れられてしまう。
『死者の書』 (新字新仮名) / 中谷宇吉郎(著)
当麻タギマの村にありながら、山田デラと言つたからである。山のウシロの河内の国安宿部郡アスカベゴホリの山田谷から移つて二百年、寂しい道場に過ぎなかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
志斐老女が、藤氏トウシ語部カタリベの一人であるやうに、此も亦、この当麻タギマの村の旧族、当麻真人マヒトの「ウヂ語部カタリベ」、亡び残りの一人であつたのである。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
行方ナメカタ当麻タギマ郷の国栖の寸津毘古キツビコが、倭武天皇に斬り殺された時、寸津毘売キツビメの懼悚心愁、表挙白幡道奉拝(常陸風土記)とある話は、幼稚な詞藻をひねり廻した此書物ではあるが
幣束から旗さし物へ (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
但、普通の形式は、力人と言つた形をとつたものらしい。ひこほゝでみの尊に対する海幸彦、たけみかづちの命に対するたけみなかたの神であり、又野見宿禰に対しての、当麻タギマ蹶速クヱハヤの如き姿である。
日本文学の発生 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)