弓場ゆば)” の例文
「いつでもという仰せでござったが、ひるすこし過ぎならお弓場ゆばへ出ておられるから、窮屈でもなし、気も軽く、拝謁できるが」
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
氏人たちをびつどえて、弓場ゆばに精励させ、棒術ほこゆけ・大刀かきに出精させよう、と謂ったことを空想して居る。
死者の書 (新字新仮名) / 折口信夫(著)
いつもの弓場ゆばへ、忠利が、ひるすこし過ぎ、姿をあらわすと、的場まとばの控え所に、彼のすがたを待っていた岩間角兵衛が、それとなく、小次郎の推挙をまた、繰返した。
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
おれはまだ現に、出来るなら、宮廷のお目こぼしを頂いて、石に囲はれた家の中で、家の子どもを集め、氏人うぢびとたちを召しつどへて、弓場ゆばに精励させ、矛ゆけ大刀かきを勉強させようと空想して居る。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
よく拭きもしない足をすぐ草履にのせて、ずかずかと忠利は、弓場ゆばへ戻って来た。そして、さっきからまごついている岩間角兵衛の顔を見ると、思い出したように
宮本武蔵:07 二天の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)