延暦えんりゃく)” の例文
今を去る千百余年、延暦えんりゃく三年二荒山ふたらさんの山腹において、かつらの大樹を見つけ、それを、立ち木のままに千手大士の尊像にきざまれたが——
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
続日本紀しょくにほんぎをお読みになったことはありませんか、あの中の延暦えんりゃく十七年の条に、太政官だいじょうかんの法令として——
親鸞 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
また支那でも印度から木綿の入ったのは宋の末だというし、我国では延暦えんりゃく十八年に崑崙こんろん人(印度人)が三河に漂着したが、其舟に木綿の種があったのを栽培したのが初だといわれている。
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
延暦えんりゃく三年十月三日に、奈良の都、春日かすがの里から山城国長岡にうつり、その十年の正月に大納言藤原小黒麻呂おぐろまろ、参議左大弁紀古作美さだいべんきのこさみ大僧都玄慶だいそうずげんけいらをこの国の葛野郡宇多村かどのこおりうだのむらに遣わしたところ
しかし大仏鋳造のころ、僧尼の激増した時期を境として、漸次、新しい気風が生まれ、一種のデカダンが発生するに至ったことも推測せられる。僧尼の淫犯いんぽんを警むる訓令は延暦えんりゃくごろから現われ始めた。
古寺巡礼 (新字新仮名) / 和辻哲郎(著)
公事根源くじこんげん」によれば、桓武かんむ天皇の延暦えんりゃく十一年の冬