床上とこあ)” の例文
「薬がおさまるようになれば、もうしめたものだ。だがちっとは長びくだろうし、床上とこあげの時分は暑かろうな。こいつは一つ赤飯せきはんの代りに、氷あずきでもくばる事にするか。」
お律と子等と (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
三日うちに床上とこあげをなさろうと云う時分、———病室の瓦斯ガスストーブから間違いが起こったのだから何でも寒い時分ですな、二月の末のことでしたろうかな、瓦斯の栓がゆるんでいたので
途上 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
「じつ申せば、日はても、いっこう御本復のていは見えぬ。……また、ここだけの秘語でおざるが、どうも今度は、たとえお床上とこあげの後も、執権ノ座に御在職はいかがといわれ、内々、御代ごだいがわりの議すら起っておる」
私本太平記:02 婆娑羅帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)