広津柳浪ひろつりゅうろう)” の例文
「十一階が二葉亭だわ。それと、漣山人さざなみさんじん。十階に広津柳浪ひろつりゅうろう江見水蔭えみすいいんよ。五階目通過中に川上眉山人びざんじんがいる。いい気味だわ。」
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
広津柳浪ひろつりゅうろうが小説『今戸心中』は京町二丁目中米楼にありしものとか聞きしがその文体つとめて実録となる事を避くるが如くなれば例外とすべし。
桑中喜語 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
明治時代の吉原とその附近の町との情景は、一葉いちよう女史の『たけくらべ』、広津柳浪ひろつりゅうろうの『今戸心中いまどしんじゅう』、泉鏡花いずみきょうかの『註文帳』の如き小説に、滅び行く最後の面影を残した。
里の今昔 (新字新仮名) / 永井荷風(著)
そもわが文士としての生涯は明治三十一年わが二十歳の秋、『すだれの月』と題せし未定の草稿一篇を携へ、牛込矢来町うしごめやらいちょうなる広津柳浪ひろつりゅうろう先生の門を叩きし日より始まりしものといふべし。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)
やがて現はれたるものを見れば文学雑誌はその名を『文芸界』と称し佐々醒雪さっさせいせつを主筆に平尾ひらお不孤ふこ草村くさむら北星ほくせい斎藤さいとう弔花ちょうかの諸子を編輯員とし巻首にはたしか広津柳浪ひろつりゅうろう泉鏡花いずみきょうからの新作を掲げたり。
書かでもの記 (新字旧仮名) / 永井荷風(著)