年増女としまおんな)” の例文
又、こちらの方では四十位の職人風の男が二人、親密そうに肩を組んで、最前の年増女としまおんなと直角の方向に、行きつ戻りつしております。
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
人をくったような年増女としまおんなの顔、すました女学生の顔、子供をおぶったどっかにきかぬ気の見えるおかみさんのような顔ばかりで、彼の望んでいる顔は見当らなかった。
女の首 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
世帯崩しょたいくずしの年増女としまおんなを勝手元に働かせて、独身で暮している川西のために、時々上さんのるような家事向の用事に、器用ではないが、しかし活溌かっぱつな働き振を見せていた。
あらくれ (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
女親分のような年増女としまおんながいて、うわまえをはねたし、容赦なくひっぱたかれることもあった。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
それからもう一つおねがいです。あのいやな日本髪の年増女としまおんなの幻が出るところの脳の部分を切り取って捨ててください。そうだ。もし矢部君が欲しいというのなら、その部分を
脳の中の麗人 (新字新仮名) / 海野十三(著)
……年増女としまおんなは、ボール紙の王冠を落したのを気付かぬまま、威張ってあるきまわり……それを拝んでいた髯面ひげづらの大男は、拝みくたびれたかして
ドグラ・マグラ (新字新仮名) / 夢野久作(著)
あから顔の老人の顔もあった。ひげった青あおした顔もあった。老婆の顔もあった。いやしい醜い年増女としまおんなの顔もあった。頭のぐるりを剃ってぼんのくぼの髪の毛ばかり残っている少年の顔もあった。
切支丹転び (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
そのとき、先に立っていた年増女としまおんなのほうが、何を思ったのか、いきなり走りだした。まっすぐではなく、変な曲線を描いて走った。アッというまに、砂の上に転倒した。助けを求めてもがいている。
影男 (新字新仮名) / 江戸川乱歩(著)
ある瞬間は二十四五の年増女としまおんなのようにマセて見えた。
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)